その男が現れ、「オペラを歌います」とあいさつした時、客席からは失笑がもれ、審査員たちは困惑した表情を見せた。2007年、英国の大人気オーディション番組「ブリテンズ・ゴット・タレント」の会場でのこと。容姿もパッとしない地味な身なりのケータイ販売員が、華麗なるオペラを歌うと言うのだ。だが、その歌声が天に放たれた瞬間、会場は静まり返り、そしてすぐにどよめきに変わり、歓声と拍手が轟いた──!
全世界で一大センセーションを巻き起こした、英国のオペラ歌手ポール・ポッツの波乱に満ちた半生を、『プラダを着た悪魔』の監督と『最高の人生の見つけ方』の脚本家が描く痛快な実話。すべてポール・ポッツ自身による吹き替えの歌声で、「誰も寝てはならぬ」「清きアイーダ」「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」など数々の名曲をたっぷりと聴かせてくれる。
ポッツが歌い出す<奇跡の瞬間>にスタンディング・オベーション!
そしてエンドロールが流れる頃、私たちは初めて理解する。なぜ、彼が成功できたのかを──。